子育て世代を対象にしたウェブサイト「食の安心パトロール(略称・食パト)」を東京都が開設した。食の安全・安心情報を幅広く提供していくことが目的だ。

 「調理法で予防できる食中毒」「知っておきたい子供の食物アレルギー」「食品添加物とのつきあい方」などのテーマについて、専門家が分かりやすく解説する。

 また、「お弁当のおにぎりを作る時、衛生面に配慮してやっていることがありますか?」など、1000人の子育て世代に聞いた意識調査の結果なども紹介している。

 都食品監視課は「子育て世代の関心が高いテーマについて、専門家からの役に立つアドバイスを提供していきたい」としている。

 同サイトのアドレスは、http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/shokupato/index.html。携帯電話からも接続して閲覧することができる。

 

※(2010年3月30日 読売新聞)

ミニカップタイプのこんにゃく入りゼリーによる窒息事故に関し、消費者庁の泉健太内閣府政務官は15日、「法規制は現段階では非常に難しい」と述べ、ゼリーの形状や大きさなどについて法規制を行わない意向を示した。7月末までに最終的な結論を出す方針だ。

 内閣府の食品安全委員会が10日、「餅に次いで、あめと同程度に窒息事故頻度が高い」という評価書をまとめ、消費者庁に通知。評価書の内容などを受けて、泉政務官は「規制をするには何らかの基準が必要だが、その基準が明確になっていない」と判断した。

 一方、15日、全国の消費者団体などで組織する「全国消費者行政ウオッチねっと」は記者会見し、法的整備を急ぐよう訴えた。

 

※(2010年6月16日 読売新聞)

 「がんを知る全国フォーラムin長野」(がんに負けない社会づくり長野県民大会実行委員会主催、毎日新聞社共催、アフラック協賛)が3日、長野市のホクト文化ホールで開かれ、約1000人が熱心に聴き入った。

 毎日新聞でコラムを連載する東大病院放射線科の中川恵一准教授が基調講演。「がんは、生活習慣の改善による予防と、検診による早期発見の2段構えの対策が必要だ」と訴えた。09年に長女の勝野七奈美さん(当時29歳)を肺がんで亡くしたタレントのキャシー中島さんは特別講演で、闘病時の家族と患者のかかわり方などを語った。信州大病院の小池健一院長とフリーアナウンサーの関谷亜矢子さんも加わった4人で「がんのひみつ」と題したトークもあった。

※毎日新聞 2010年7月4日 東京朝刊

 ◇授乳やめ感染断つ 全妊婦に無料で抗体検査、予防効果大きく

 HTLV-1ウイルス(ヒトTリンパ球向性ウイルス1型)による病気は成人T細胞白血病(ATL)だけではない。HAM(HTLV-1関連脊髄(せきずい)症)という進行性の病気も引き起こす。下半身がまひし、排尿障害が起きるのが主な症状で、次第に歩けなくなる。有効な治療法はない。

  □  □

 甲信越地方に住む近藤よう子さん(57)=仮名=と次女の美紀さん(25)=同=は親子でHAMを発症した。

 美紀さんが振り返る。「小学校高学年ぐらいから階段がリズムよく上がれなかった。走ると足がもつれ、体育もやりづらかった」

 地元の国立大に進学し20歳の時、HAMと診断され、医師は口にした。「お母さんから感染したのでは」

 その通りだった。

 病名が分かり、薬を飲めば治ると思っていた。だが、医師は病状のことを詳しく語らなかった。気になり、インターネットで調べた。

 --歩きづらくなって、車椅子になって、悪い場合は最後、寝たきりになる......。症状を知ったその衝撃が今も脳裏に刻まれている。

 美紀さんは、自宅では壁を伝い、外ではつえをついて一歩一歩進む。強風が吹けば、歩けない。週に2、3回、塾講師のアルバイトをしているが、帰宅後はぐったりする。

 よう子さんは悔やんだ。「赤ちゃんの時から全然手のかからない子だった。私がキャリアーと分かっていれば、おっぱいをあげなかったし、娘もHAMにならずに済んだのに」

  □  □

 HTLV-1ウイルスは母乳を通じて子供にうつる。それを防ぐ手立てはあるのか。

 長崎県は87年、病院の産科、小児科などの協力で、母子感染予防のための連絡協議会を設立した。県内全域で全妊婦の抗体検査を実施し、ウイルスが見つかれば授乳を極力しないようすすめている。

 効果は大きかった。

 長崎大が87~98年、キャリアーの妊婦の子への感染率を調べた。妊婦が6カ月以上母乳を与えると感染率は20・3%、6カ月未満の授乳は7・4%だった。一方、授乳なしだと2・5%と大きく下がる。この20年で県は1000人以上の感染を防ぎ、約50人の子がATLなどにならずに済むという成果を上げた。

 ただ、告知や説明の難しさもある。ウイルスが見つかれば、かかりつけの産科主治医が告知する。断乳か短期の授乳で子供にうつりにくくなることを説明したうえで、断乳するなら出産後に母乳分泌抑制剤を与える。

 「ただ、病状を細かに伝え過ぎると不安をあおりかねない」と同連絡協議会会長で長崎大産婦人科の増崎英明教授は言う。有効な治療法がないだけに、こうもアドバイスするという。「ウイルスを家系の中から断ち切ることがあなたの意思でできます」

 鹿児島県も97年から「ATL制圧10カ年計画」を実施し、感染防止の成果を上げた。独自にATL調査もしている嶽崎俊郎・鹿児島大大学院教授は言う。

 「断乳か授乳を短期にすることで子供への感染リスクが確実に下げられることがはっきりした」【高橋咲子、小島正美】
 ◇キャリアー、全国に拡散

 HTLV-1ウイルスのキャリアーは九州や沖縄にとどまらず、全国的な広がりを見せている。厚生労働省研究班の約20年ぶりの全国調査(07年)では、関東、中部など大都市圏で増え、九州・沖縄の割合は全体の半分以下に減った。人口移動と感染予防対策の遅れが全国への拡散をもたらしたようだ。

 母子感染の予防と早期発見が急務だが、長崎県は08年から無料の妊婦健診にウイルス検査を組み込んだ。その結果、ウイルス検査の受診率は71・8%(06年)から97%(08年)に急増した。鹿児島県でも同様に検査は無料だ。

 また、妊婦の理解を深めることも課題の一つだ。鹿児島の調査では、キャリアーと分かった215人中45人が子への感染のリスクが高い長期授乳を選んでいる。キャリアーの白血病発症率が2~4%と低いことや、「家族の理解が得られない」「子供が人工乳を飲んでくれない」などの事情があったという。

 8日公表された厚労省調査では、4月1日現在、公費負担で妊婦の抗体検査をしている市区町村は全国で約28%にとどまり、全県実施は長崎など九州の4県と岩手、高知など計8県だけだ。

 長崎大の増崎教授は「検査の無料化はもちろん、医療現場での告知の仕方、キャリアーのフォローも肝要だ」と話し、総合的な行政対応を求めている。

※毎日新聞 2010年6月10日 東京朝刊

 ◇病院転々、診断やっと
 ◇九州以外、医師の認識低く/治療費、保険外の場合も

 「ウイルスの病気なのに診断がつかず、病院を転々とする。本当につらい」。HTLV-1関連脊髄(せきずい)症(HAM)や成人T細胞白血病(ATL)の患者の切実な声だ。

 5月中旬、患者、家族らでつくるNPO法人「はむるの会」(山越里子理事長)の1周年総会が神奈川県内の病院で開かれた。昨年6月に設立され、情報交換などをしている。

同会の鈴木芳子さん(59)が振り返る。「たった15分の朝礼で立っていられなくなり、48歳のとき、デパートの販売員をやめました」

 最初は整形外科を受診したが、医師は「運動をするように」とそっけなかった。その後、関東一円の病院を次々と受診したが、徐々に歩けなくなった。親類の元医師から「脊髄に異常があるのでは」とのアドバイスを受けやっと病院でHAMと診断された。デパートをやめて5年たっていた。

 同会理事でHAM患者の石母田(いしもだ)衆さん(64)は診断までに7年かかった。石母田さんは98年に家族で血液検査を受け、6人兄弟のうち次男の石母田さんを含め4人の感染が分かった。その後、三男は03年、ATLで亡くなった。それでも、医者からHAMの説明を受けたことはなかった。

 石母田さんは医師の認識の低さを嘆く。「病院にかかるたびにキャリアーだと告げたのに、『HAMの疑い』と言われるまであまりに長すぎる」

 HAMの研究をしている聖マリアンナ医科大の山野嘉久准教授によると、頸椎(けいつい)の異常と診断され、首の手術を受けた患者も少なくないという。「(患者の多い)鹿児島なら、MRI(磁気共鳴画像化装置)など画像の所見に比べて症状の出方が強ければHAMを疑って血液検査をするだろう」。しかし、九州以外の診断体制は遅れている。

 --成人T細胞白血病 母乳感染説を検証

 86年12月の本紙1面の見出しだ。感染防止に向けた国の早急な対応の必要性が報じられた。当時研究者の間でもその機運が高まっていた。だが、90年の厚生省(現厚生労働省)研究班の報告書が風向きを変える。

 「感染者は自然に減少し、将来は消滅する」としてキャリアー率の高い地域以外の対策は不要とした。その後「研究費は減り、研究者も離れていった」と山野准教授は振り返る。

 あれから約20年、キャリアーは全国に広がった。HAM患者で「日本からHTLVウイルスをなくす会」(鹿児島市)代表理事の菅付加代子さん(53)は訴える。「『発症率が低い』『風土病だ』として緊急性が軽視されたため対策が遅れた。私たちはもう待てない」

 一方、患者には治療費の負担が重くのしかかる。今村病院分院(鹿児島市)の宇都宮與(あたえ)・院長によると、ATL治療ではエイズ患者と同じ治療薬を使うことがある。だが、薬害などによるエイズ患者は医療費が無料になるが、ATL患者は保険が利かず、自己負担となるケースがある。

 さらに、国の研究費助成は、同じ感染症のC型肝炎に比べて100分の1程度だ。日ごろATL患者と接している宇都宮院長は「キャリアーの段階で発症を抑える治療法の研究も必要」と、せめて10億円以上の研究費があればと訴える。

 キャリアーを減らし、患者を救うことはできるのか。渡辺俊樹・東大大学院教授(HTLV-1研究会会長)は「108万人のキャリアーは、健康行政上の大きな課題だ」と指摘する。そのうえで全妊婦の検診の実現、治療・研究対策の充実を求めている。

 「先進国では日本に特有のウイルスなので、日本が率先して対策をすべきだ」

 

※毎日新聞 2010年6月11日 東京朝刊

 ◆人工尿道括約筋 前立腺手術に伴う括約筋損傷患者に埋め込み。
 ◇重症の尿失禁に効果 「生活支障なし」9割、長い耐用年数/保険外で高額

 東京都東村山市内に住む男性(73)は、8年前から尿失禁に悩んできた。症状は、前立腺がんによる前立腺摘出手術を受けた直後に始まった。多いときで1日に尿漏れ用のパッド3枚以上を使う。主治医のアドバイスで、肛門(こうもん)を締めて骨盤底筋を鍛える運動を毎日50回以上続けた。子どもの夜尿症に効くという抗うつ剤も処方された。パッドは1日1枚程度まで減ったが、外出時は予備のパッドが手放せず、趣味のアウトドアを楽しむ時間も減った。

 そんな折、主治医に人工尿道括約筋の埋め込み手術を勧められた。高額の費用や、異物を体内に入れることへの抵抗感から迷ったが、「尿漏れから解放されたい」という気持ちが勝った。手術の約2カ月後に使えるようになり失禁はほぼ解消。息むと少し漏れることはあるがパッドは不要という。男性は「悩みがうそのよう」と声をはずませる。

 *

 尿道括約筋は、ぼうこうの出口付近にある筋肉で、普段は締まっていて尿漏れを防ぎ、排尿時は脳の指令を受けて緩む。前立腺の摘出や、前立腺肥大症による内視鏡手術の際、隣接する括約筋の一部が傷付くと、慢性的な尿漏れにつながることがある。

 東北大病院泌尿器科の荒井陽一教授によると、国内で前立腺全摘手術は年間2万件ほど実施され、その1~3%にあたる200~600人に重い尿失禁が残ると推定される。荒井教授は「重症だと常にオムツが必要になり、仕事をやめるなど社会生活に支障をきたす人が多い」と指摘する。

 東京女子医科大東医療センター泌尿器科の巴ひかる講師は「尿道括約筋損傷による男性の尿失禁の治療法には、骨盤底筋の電気刺激療法や薬物療法などもあるが、重症の場合、効果は期待しにくい」と話す。

 *

 人工尿道括約筋は米国製。主な部品は、尿道に巻き付ける「カフ」と、それぞれぼうこう付近、陰のうに埋め込む「圧力調整バルーン」と「コントロールポンプ」。生理的食塩水で満たされたカフが尿道を締め付け、括約筋の代わりを果たす。排尿時は、ポンプを陰のうの上からつまむと、カフ内の水がバルーンに移り、締め付けが緩んで尿が出る。バルーンの水は排尿後、自然にカフに戻る。

 製品の国内総販売代理店「タカイ医科工業」(東京都)によると、過去約40年間にわたり世界で13万人以上が使用。米国では年間四千数百件の埋め込み手術が実施されている。

 日本では94年以降に年間平均7件ほど実施されてきた。器具が新モデルに切り替わった際に薬事法の再申請が必要になり、07年から約2年間、供給が途絶えたが、昨年9月に承認。すでに6施設で計23件(21日現在)の手術が実施された。保険は適用されず、器具代(約150万円)と手術・入院費などで計180万~200万円ほどかかる。ただし、国から先進医療の指定を受けた施設では、一部で保険が適用され、自己負担は170万円前後だ。

 手術は1~2時間で、全身麻酔で行う。入院は通常1週間弱。荒井教授が08年にまとめた国内調査では、手術後に排尿状況を評価できた58人のうち約47%は失禁が完全に治り、尿漏れが多少残る人を含め約91%は「生活に支障がない」と答えた。さらに全64人のうち7割が10年以上使用を継続していた。器具の細菌感染などのため再手術で取り出したケースも2割であったが、荒井教授は「新モデルを使った最近の成績はかなり向上しているだろう」と予想する。

 巴講師は「治療法はあるのであきらめないで」と呼び掛ける。日本泌尿器科学会は、荒井教授を中心に人工尿道括約筋認可推進委員会を設置し国に保険適用を求めている

 

※毎日新聞 2010年6月23日 東京朝刊

 「私が診た患者も何人も命を絶った。失敗を繰り返してここまで来た」。医療機関で大量に処方された向精神薬で自殺や自傷する人が増えている問題で、京都市の精神科診療所院長が毎日新聞に体験を語った。多くの精神科医が患者の自殺に直面してきたが、その「教訓」を伝える人は少ない。一人の患者が立ち直ったことが医師の今を支えている。【堀智行】
 ◇精神科医師が見つけた答え

 奥井滋彦院長(50)が京都市内の精神科病院に勤務していた駆け出しのころのことだ。自殺をほのめかす電話があれば、深夜でも自宅まで駆け付けた。だが深くかかわり過ぎると患者は医師に寄りかかり、つながりを求めて自傷を繰り返す。薬を大量に出せば、薬に依存し症状は悪化する。重篤な患者の何人かが過量服薬などで命を絶った。自分を責め、悩んだ。

 見つけた答えが「薬を減らし、患者の力を信じ見守る」こと。向精神薬を長年処方され、薬物依存症になっている患者にはその事実を伝え、治療の道筋を説明した。

 そのころ出会ったのが患者の加藤武士さん(45)。加藤さんは薬物依存症のため精神科病院の入退院を繰り返していた。奥井医師は、こうした人を支えるNPO「ダルク」に通うよう勧めた。加藤さんは薬を断った。だがこころの穴は埋まらない。失望し大量の処方薬を飲んで自殺を図った。一命を取りとめ、頼ったのも奥井医師だった。

 奥井医師は当直の晩になると、部屋に呼んだ。毎回2時間、生い立ちに耳を傾けた。実母と育ての母の2人がいたこと。育ての母に感謝する一方、生い立ちから学校でいじめられ、非行に走ったこと。寂しさを紛らわしたのが覚せい剤や処方薬だった。2カ月かけ、話し終えた時に奥井医師は言った。「よう今日まで生きてきたな」。理解してくれる人がそばにいる。それが回復への第一歩だった。

 自殺を図る患者の対応が難しいと多くの精神科医は口をそろえる。奥井医師は後輩から相談を受けるたび「いっぺん患者に巻き込まれてみろ」と助言する。遠くから見ていても分からない。巻き込まれて見えるものがあると思うからだ。

  ◇  ◇

 加藤さんは今「京都ダルク」の施設長として、薬物を断とうと格闘する仲間の支援を続ける。奥井医師と出会って18年。患者を亡くし、苦しむ姿も見てきた。加藤さんは言う。「医者は患者の前では無力になれない。だから薬に頼ってしまう。だけど、無力な時もあると受け入れれば、本当の医者と患者の距離が見えてくるんじゃないでしょうか」

 

※毎日新聞 2010年6月25日 東京朝刊

 ◇自殺問題に詳しい防衛医大防衛医学研究センターの高橋祥友教授(行動科学)の話

 「過量服薬は勝手にやることだからやむを得ない」という話ではない。医師は「命を絶つために薬を渡しているのではない」というメッセージを伝えなければならない。また、前回の診察で出した薬を持ってきてもらい、ためていないかチェックしたり、通院期間を短くして薬を多く出さない工夫も必要だ。

※毎日新聞 2010年6月26日 東京朝刊

 日差しが強まる季節。紫外線から肌を守る日焼け止め(サンスクリーン)は、今やレジャーだけでなく、日常生活にも欠かせない。一方で、使い方や商品選びには分かりにくい点も多い。専門医やメーカーに聞いた。【田村佳子】
店頭には多種多様な日焼け止めが並ぶ=神奈川県川崎市のコクミンドラッグアゼリア店で
店頭には多種多様な日焼け止めが並ぶ=神奈川県川崎市のコクミンドラッグアゼリア店で

 Q・塗る量は?

 A・最近の日焼け止めは使用感が良く、さらっと伸びるものが多い。半面、伸ばしすぎて、塗布量が少なくなりがちだ。

 製品に表示されたSPFやPAの値は、肌1平方センチ当たり2ミリグラムを塗った時のUV(紫外線)防止効果。目安は、腕なら縦に2、3本の線状に置いた量で、脚なら3、4本程度。顔は1円玉大の2個分と、意外に多い。東京慈恵医大付属第三病院の皮膚科診療部長、上出良一医師は「一般的にはSPF表示の規定量の2分の1~3分の1しか塗られていない」と指摘する。
日焼け止めクリームの塗り方
日焼け止めクリームの塗り方

 半分の量しか塗らないと、防止効果は表示の約3分の1に落ち、特に、数値の大きいものほど効果の落ち方も大きいという。「必ずしも規定量を塗る必要はないが、薄めに塗るなら、UV防御効果を過信しないこと」と上出医師は話す。
日焼け止めクリームの塗り方
日焼け止めクリームの塗り方

 Q・塗り直しは?

 A・きちんとUV防御するには、塗り直しが重要になる。日焼け止めは、汗で落ちやすいのが弱点。防水タイプのウオータープルーフでも、こすれて落ちてしまう。2~3時間ごとに塗り直すのが理想だが、特にタオルなどで汗をふいた時は、塗り直した方がいい。

 顔の場合は、UV効果のある下地などで日焼けを防ぐのが一般的だが、化粧を落としてまで塗り直すかは悩みどころ。カネボウ化粧品スキンケア研究所の松江浩二・主任研究員は「そもそも化粧が落ちないように顔に触らない人が多く、他の個所より落ちにくい。ファンデーションを塗り直せば日焼け止め効果としてはOK」と話す。

 Q・落とし方は?

 A・「SPF50+」など強い日焼け止めやウオータープルーフタイプは、せっけんでは落ちにくい。コーセー広報課の橋本美佳さんは「きちんと落とさないと目に見えない膜が肌に蓄積するので、注意して」と呼びかける。

 クレンジング剤が必要なものは製品の裏などに表記があるのでそれに従うとよい。橋本さんは「日常使いなら強力なものを選ばず、せっけんで落ちる程度の日焼け止めを使うのもポイント」と話す。

 Q・何年も使える?

 A・日焼け止めは消費期限などの表示がない商品がほとんど。前年の余りも使えるのだろうか。上出医師は「レジャー用の日焼け止めは暑い場所に持っていくので変性しやすい。基本的に1シーズンものと考えるべきだ」という。

 資生堂で日焼け止め製品を担当する須貝展子さんは「翌年以降でも日焼け止め効果は落ちないが、液が劣化することがある」と話す。翌年に持ち越す場合は、酸化を防ぐためボトルの口元をしっかりふいて、日光の当たらない場所で保管しておく。「油っぽくなったり、水が出るのが劣化のサイン。よく見極めて判断して」と須貝さんは話す。

 

※毎日新聞 2010年6月29日 東京朝刊

 ◇悪玉コレステロールとの比率改善を/禁煙、運動が効果的

 そろそろ職場で行った健康診断の結果が分かるころ。気になるコレステロール値に悪玉(LDL)と善玉(HDL)があるのはよく知られているが、意外に見落としやすいのが善玉の数値。悪玉と善玉の比率(LH比)を知って動脈硬化防止を心掛けたい。【小島正美】

 東京都内の男性(58)は健康診断の結果、悪玉のLDLが1デシリットル当たり125ミリグラム、善玉のHDLは同45ミリグラムだった。脂質異常症と診断されるのはLDL値が140以上、HDLが40未満のため、特に異常はない。ところが、たまたま超音波検査(エコー検査)で心臓周辺の血管を調べてもらったところ、鎖骨下の動脈の血管に脂がたまり、血管が狭くなっていることが分かった。

 この男性のケースをどう考えればよいか。生活習慣病予防外来で脂質異常症などの患者を多く診ている武田病院健診センター(京都市)の桝田出(いづる)所長(京都大学医学部臨床教授)は「こういうケースは珍しくない」と日ごろの治療体験から話す。続けて、「悪玉のLDLが正常目安の120未満であっても、HDLが低い場合は心筋梗塞(こうそく)を起こすリスクがけっこう高いので、LDLとHDLの比率であるLH比(LDL÷HDL)を見ることが重要だ」と指摘する。

 HDLは血管に付着した悪玉コレステロールを運び去る働きをする。つまり、HDLが低いと血管に脂がたまりやすくなるわけだ。

   ◇   ◇

 小倉記念病院(北九州市)が06~07年に、急性心筋梗塞や狭心症で運ばれた患者約370人を調べたところ、LDLの平均値は正常範囲内の111ミリグラムだった。さらにLDLが100未満と低く、より正常と思われた患者141人を調べたところ、約3割の人はHDLが40未満と低かった。

 同様の報告はほかにもある。カレスサッポロ北光記念クリニック(札幌市)の佐久間一郎所長らの研究報告によると、心筋梗塞になった北海道内の男性患者571人のうち、313人(約55%)はLDLが120未満と正常範囲だったが、HDLは正常範囲とはいえ低めの40~50程度だった。

 こうした研究結果から、桝田さんは「LDLとHDLの比率が2~2・5以上ある場合は、たとえLDLが正常範囲でも、要注意と考え、念のためにエコー検査で頸(けい)動脈の様子を調べた方がよい」と話す。

 エコー検査をすれば、血管の中に脂がどれくらいたまっているかが分かる。佐久間さんのクリニックでは、健診を受けた人にLH比を最初から見せている。その比率が2~2・5以上の場合には、生活指導や治療を勧めている。佐久間さんは「HDLが正常範囲でも40台の人は要注意だ」とHDLの数値の重要性を話す。

   ◇   ◇

 動脈硬化などに詳しく、LH比を重視した診療を提言している倉林正彦・群馬大学医学系研究科教授は「健康な人では、まずLDLを120以下まで下げ、LH比を2以下にする。糖尿病や高血圧、家族に脂質異常症のある人は、LH比を1・5程度にするのがよい」とアドバイスする。

 医療機関では一般的に、LH比の改善には肝臓でのコレステロールの合成を抑えるスタチン系薬剤が使われる。また、中性脂肪の高い人はコレステロールの腸での吸収を抑える薬剤を組み合わせることもあり、3~4カ月程度の服用で改善するケースが多い。

 薬以外でHDLを上げる方法としては、喫煙をやめて、運動するのが一番効果的だ。東山武田病院(京都市)では患者の体力に応じた運動もアドバイスする。今井優・健康運動指導科長は「1日30分程度歩く運動を続けるだけでも、約2~4カ月でHDLが上がる」と運動の大切さを強調している。

 

※毎日新聞 2010年7月2日 東京朝刊